アホおやぢの「WSET Diploma の作り方」

何かの間違いで数年前に Diploma を取得しました。今は Candidate でもないのに Diploma について語ります。

Diploma に必要な英語力

WSET によると、Diploma 受験に必要な英語力は、Specification の 27ページに
 
1.2.2 Candidates sitting where English is not their first language are strongly recommended to have IELTS at 6.5 or above to be able to demonstrate an equivalent ability level.
 
とあり、これは TOEIC換算で 820以上とのことです。
 
と書いたものの TOEIC を受けたことのない人にはピンとこないと思います。
 
以下はアホおやぢの主観ですが、別の言い方をすると、Level3 の英語コースの授業が8割くらいわかっているか、Level3 Online を受講するかして、Level3 の試験を Merit 以上で合格していれば英語力という意味では Diploma へ進んでも問題はないと思われます。
 
Level3 のテキストを何とか読むことができれば、根性は必要ですが、Diploma の eBook を読むことはできると思われます。
 
特にしょっぱなの D1 は栽培・醸造その他の eBookは専門用語がてんこ盛りでページ数も多いそうなので英語が苦手な人はかなりてこずると思われますが、ここを乗り切れば他の Unit の eBook を読み込むことは D3 がやたら分厚いのを除けば それほど難しく感じないそうです。
 
実際に試験を受けるときの「書く」という作業については WSET は Candidate Assessment Guide: Part1 Theory(旧カリキュラムにあったもので通称 CAG) の5ページで以下のように述べています。(Candidate Assessment Guide については後述)
 
"If English is not your first language, the examiners take this into account when marking your script; you will not lose marks for errors in your written English that it is intelligible.  No candidate will be penalized for poor spelling or grammar if the meaning is clear but you should take particular care to spell correctly any technical vocabulary (such as the names of grape varieties or soil types) and wine terms which appear in languages other than English.(以下略)"
 
【ひとこと】
最後に、WSET はイギリスの組織だからと言って、
無理にイギリス英語で表記する必要はありません。
(例: flavor, aging, organization でも OK)
 
ここまで「Diploma に必要な英語力」について書きましたが、以下の人は Diploma 受験の際に相当なハンディを背負っていると思ってください。
 
1.Level3 を日本語で受けた人
2.Level3 を英語で受けて不合格となり 再受験で合格した人
3.Level3 を w/Merit、w/Distinction ではなく ただの Pass で合格した人
 
詳しく見ていきましょう。
 
1については最近 Decanter Award 狙いで英語ができるにもかかわらず日本語で受験する人が少なからずいるそうです。しかしながら、Level3 を日本語で受験する人の大半は英語に自信がない方が多いようでそのレベルの英語力で Diploma が取得できるほど WSET は甘くはないでしょう。
今までに Level3 を日本語で受験して Diploma を取得した人は4人しかいません(アホおやぢ調べ)。(註: Decanter Award とは、WSET の Academic Year(8月から翌年7月まで)に日本で受験した人(日本人である必要はなし)の中で成績最優秀だった人に奨学金4000ポンドが与えられるもので、これは日本語で受験した人も対象になるらしいです。)
 
【おまけ】
奨学金は現金でもらって Diploma を受験せずに着服できると思っている人がいるようですが、奨学金はあくまで Diploma の受験費用関係、しかも WSET に直接支払われるもの(受験料、Feedback(後述)の費用など)に限られ、例えば 参考書籍や Tasting 用のワイン代なども含まれません。これらはすべて自腹です。
 
 
話を元に戻して、上記2.に該当する方については、Diploma に比べてかなり易しい Level3でFail を食らっているだけでアウトだと思うのですが、アホおやぢが知っている人で Level3 を1度は Fail を喰らいながら Diploma 解脱を果たした人が3人はいます。でも、これはあくまで例外で Diploma へ進んだ時にハンディを背負っているのは間違いないです。
 
3については、上記2と同じ理由です。これについては今のところ合格者はいないと思われます。(アホおやぢ調べ)
 
参考までに WSET は以下のことを述べています。
"Too many candidates are rushing into the Diploma programme on passing the lower WSET qualifications (sometimes with low level pass grade) without fully realising the significant difference in the level of the Diploma.
(出典: 2011/12 Examiners' Report 86p)
 
 
最後に 英語に全然自信がなく、かつ Level3 を日本語で受験した人はDiploma 取得を目指さない方がいいでしょう。
後述しますが、Diploma ではすべての修行者が D1(栽培・醸造その他)についての 90分の記述試験を一番最初に受験することになります。D1 の eBook は 200ページくらいあるらしく、内容も栽培・醸造その他についての専門用語(化学物質の名前もあり)のオンパレードで それなりの英語力がないと内容の理解もおぼつかないような代物らしいです。英語力が不自由なままではテキストの理解は言うに及ばず、それを咀嚼したうえで英語で解答を書き出すことなど神業に近いと思われます。Caplan によると、この D1 の日本人の合格率は5割を切っているそうです。私が直接知っている人で新カリキュラムになってから Diploma を始めた人は 10人弱いるのですが、全員 Level3 英語受験組で、D1は 1発合格されています。D1 Fail は Level3 日本語受験組がごっそり持って行っていることがこのことからも容易に想像できます。これは至極当然のことで、Level3 日本語受験で英語の免疫がない人がいきなり専門用語満載の200ページにもわたるテキストを読みこなして試験で一発合格するのはかなりむずかしいでしょう。
 
とはいうものの、自称「英語ができない人」であるにもかかわらず、解脱する人はごくわずかですがいます。アホおやぢが知る限り、そんな人は英語力のなさを下の3つのどれかでカバーしています。
 
1.並外れた地頭の良さ
2.並外れた記憶力
3.並外れた Tasting 能力
 
 
以上、Diploma に必要な英語力でした。